”ひもとおし”のいろいろ
今日は、教材として活用頻度の高い”ひもとおし”について、その目的や活用方法を解説していきます。
”ひもとおし”の目的
”ひもとおし”とは?
写真のようなひも(太いものや糸等も含む)にストローやビーズ等を通していく課題が、”ひもとおし”です。
ひもや通すものを工夫することで、様々なものでひもとおし課題を作ることができます。
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”ひもとおし”課題でつく力はいくつかありますが、私は特にこの2点を意識して課題設定をしています。
〇両手動作を促す
〇指先の操作性を促す
この2点について、もう少し考えていきます。
〇両手動作を促す
字の通り、両手を使った動作を促すことが目的です。
両手を使う課題の中には、
・両手を同時に動かす
・片手で支えて片手で操作する
・両手をバラバラに動かす
の3つのパターンがありますが、ひもとおしでは「片手で支えて片手で操作する」、「両手をバラバラに動かす」動きが大切になります。
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写真のように、左手と右手が、ひもを持ったりビーズを持ったり、操作する側になったり支える側になったり入れ替わるので、両手バラバラな動きの中でも、かなり複雑な操作になります。
〇指先の操作性を促す
続いては、指先の操作性を促すことについて考えていきます。
通すものにもよりますが、基本的にはビーズ等やひもを「つまむ」という操作が必要になります。
穴をふさいでつまんでしまうとひもを通すことはできないので、「穴の位置の確認」も必要になります。
またひもを通すためには、ねらったところに向けて手を動かす「目と手の協応」の力も必要になります。
そして、右手・左手それぞれの動きにあわせて、もう一方の手が「支える」ことも必要になります。
さらに、細かい指先の動きを使った両手動作を促すことで「集中力」も必要となります。
このように、指先の操作性の向上のためには、たくさんの力が必要になります。
”ひもとおし”の難しさとその改善方法
ひもとおしを難しく感じる場合、いくつか原因が考えられます。
その原因と改善方法について考えていきます。
〇ひもの先を固定する
「ひもの先がふにゃっとなってしまうことが、通しにくさにつながる」ことがよくあります。
ひもの先を固定することで、通しやすさがずいぶん変わってきます。
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オススメはボンドを使うことです。
ひもの先に木工ボンドをつけて、すりこむようにして、ボンドが乾くまで置いておきます。
乾くとひもの先がピンとなり、通しやすくなります。
テープでとめる方法もあるのですが、テープが気になってしまう子もおり、テープをはぐことに夢中になってしまう場合もあります。
(気にならない場合はテープでもよいと思います)
また、市販の綴り紐や靴紐等は、あらかじめ先が固定されているので、そのまま使いやすいです。
〇ひもがどこから出てくるか見えるようにする
ひもとおしの難しさを感じる理由に、「ひもが見えなくなったとき(通したとき)にどうなっているのかイメージをもちにくい」ということが考えられます。
そんな時にオススメなのが、透明ホースを使ったひもとおしです。
ホームセンター等で買える透明のホースを切って、通しています。
透明なので、ひもを通した時にどんな状態になっているかよく見えるため、”とおす”ということがどういうことなのか、見てイメージしやすくなります。
”とおす”ことがどういうことかイメージできることで、その他のひもとおしにも取り組みやすくなるかもしれません。
〇大きなものを利用する
ひも通しの難しさに、「細かい指の操作性がまだ十分に育っていない」ということがあります。
そんな時には、ひもやとおすものを大きくすることでできるようになることもあります。
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こちらは、ひもをホースに変えたひもとおし課題です。
まず、ひもではなくホースになっているので、持ちやすいです。
(”つまむ”ことが難しくても、”にぎる”ことでホースを支えることができます)
ホースの硬さにもよりますが、ひものようにふにゃっとなりにくいので、通すときに安定したまま通すことができます。
また、通すものの方は、ホースの大きさに合わせて、ぶつかり防止クッションを切ったものを使っています。
”にぎる”だけでは通しにくさがありますが、これから”つまむ”操作を促していこうという場合には、こういった大きめのものを使うのも良いかもしれません。
今回3つのパターンを紹介しましたが、その子の”ねらい”を確認するとともに、その子が何に難しさを感じているのかによって、工夫するポイントを考えていくと良いと思います。
”ひもとおし” 応用編
ひもとおし課題は取り入れやすい課題でもありますが、同じものを繰り返すと飽きてくることもあります。
でも、その中でも「両手動作や指先の操作を促したい」と思ったり、他の子との課題の関係で「集中して長く取り組める課題を提供したい」と思ったりすることもあると思います。
そんな時には、見比べる学習、数や色の学習と関係させるとレベルアップが図れます。
〇見本とに比べる
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こちらは「見比べる」ことをねらいとした、ひもとおしです。
見本に提示されたものと同じように通す、写真で示された見本と同じように通していきます。
写真左のように、見本に同じものが用意されている方が、取り組みやすくなります。
右の写真は、見本4つの写真を示していますが、20個くらい通したものを見本として提示すると、かなり難しくなります。
見比べながら操作をするのは、難易度の高い課題となります。
間違えない程度の数から始め、少しずつ数を増やしていくと良いと思います。
〇数や色の学習と関係させる
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こちらは、”指示書カード”という教材を使った例です。
「あかを〇こ、きいろを〇こ、おあを〇こ」といった指示にそって、ひもに通していきます。
色や数、言葉の学習とも関連させながらひもとおしに取り組むことができます。
指示の内容を変えることで、その子にあった難易度の問題を出すことができます。
〇作品を作る
作品につながることで、目的意識をもって取り組めるようになることもあります。
ビーズのアクセサリー、教室の装飾、のれん等、子どもと一緒に作りたいものを相談しながら、目的をもって取り組んでみましょう。
できた作品を称賛されることで、自己肯定感アップにつながることもあります☺
まとめ
今回は”ひもとおし”について考えていきました。
導入しやすい、簡単に用意しやすい”ひもとおし”だからこそ、「ねらいをはっきりさせておく」ことがとても大切です。
工夫次第で、難易度は大きく変わります。
その子にあった”ひもとおし”、色々試してみてください😊