数字とイラストの合成分解~なぜ数字とイラストをまぜるの?~

Instagram【No.498】【No.524】で紹介している“数字とイラストの合成分解”という教材について、「なぜ数字とイラストをまぜるの?」という視点で解説していきたいと思います。

数の合成分解とは?

数の合成分解とはどのような課題でしょうか。

「数の合成」とは、
1と2で 3
5と4で 9
のような数を合わせる課題のことです。

「数の分解」とは、
5は 2と3
10は 3と7
のように、数を分ける課題です。

小学校1年生の算数の教科書の中では、「いくつといくつ」という単元で取り組む学習です。(2024年6月現在)
足し算に入る前の学習として、組み込まれています。

おはじきやブロックなどの具体物を操作しながら学習していくことから始め、最後は数字を頭の中だけで操作できるようになることを目指していきます。

数の合成分解の学習はなぜ必要?

数の合成分解の学習の目的は、“頭の中で数をイメージして、操作できるようになること”と考えています。

頭の中で数をイメージできるとは、例えば”3”という数字を見たり聞いたりしたときに、頭の中で3つの具体物を思い描けるということです。
反対に、3つの具体物を見た時に、頭の中で”3”という数字を思い描けることでもあります。

数の学習は、実際に目の前にある物を指差しや1対1対応、数の表等で対応させながら、「1,2,3…」と数えていくことから始まります。

この段階では、まだ頭の中で数をイメージすることはできていません。
目の前にある具体物を操作して、数えて、今ここにいくつあるのかを確かめている段階です。

このような状態から、様々な具体物を数える課題や、日常生活で数を数えることを繰り返す中で、徐々に、数えなくても頭の中に数字を思い浮かべられるようになっていきます

頭の中で数をイメージできるとは、3つの具体物を見て、「さん」という音を聞いて、(数えずに)頭の中に3という数字が思い浮かべられる状態です。

数の合成分解の課題では、頭の中でイメージできるようになったその数字を、さらに頭の中で操作することを目指しています。

「2と1で“3”になるな~。」
「“5”は1と4でできているな~。」

こういった操作を頭の中でするためには、まずは数字自体を頭の中でイメージできることが必要になります。
そしてその状態で、具体物を操作したり、指の数を数えたりする学習が大切になっていきます。

具体物を合わせたり分けたり繰り返していく中で、頭の中でイメージした数字を、頭の中で操作できるようになっていきます

“頭の中で数をイメージして、操作できるようになること”
数の合成分解の学習を通して、つけたい力です。

なぜイラストと数字をまぜるの?

今回解説している”数字とイラストの合成分解”の教材は、あえて(数の)イラストと数字で、合成分解の課題を提示しています

例えばイラストだけの合成分解課題について考えるてみると、イラストの数を数えれば答えを出すことができます。

頭の中で数をイメージできなくても、数を数えることができる段階で数えて答えを出すことができる課題になってしまうため、”数を数えて答えを出しているのか””頭の中で数をイメージして操作して答えを出しているのか”判断が難しくなります。

また、数字だけの合成分解の課題の場合、繰り返し取り組むことで、答えの組み合わせを暗記して答えるようになることがあります。

正解できているように見えても、”覚えた答えを書いているのか””頭の中で数を操作して答えを出しているのか”判断が難しくなってしまいます。
このようなパターンは、視覚記憶の強い場合とにかく何度も繰り返し取り組んできた場合に見られることがあります。

合成分解の課題で大切なのは、“頭の中で数をイメージして、操作できるようになること”であり、数えたり暗記をしたりして答えを出すことはありません。

”数字とイラストの合成分解”では、“4と◯◯◯”という数字とイラストを見たときに、
4を◯◯◯◯に変換するか、◯◯◯を3という数字に変換する操作が必要になります。

これは頭の中で数をイメージする力がついていないと難しいです。

”数字とイラストの合成分解”では、数を数えるだけや、暗記した数字だけでは答えを出すことができないので、本当に“頭の中で数をイメージして、操作できるようになること”ができているのか確認することができます

”一桁の足し算はできるけど、繰り上がりがあったり数が大きくなるとできない…”といった場合、足し算の答えを暗記して解答しているだけで、実際には頭の中で数をイメージして操作ができていないことも考えられます。
このような場合は、実際に頭の中で数をイメージして操作しているのか確認のために、”数字とイラストの合成分解”の課題に取り組んでみても良いかもしれません。

数の合成分解でつまずいている場合、プリントを繰り返し行うだけでは、頭の中で数をイメージして操作する力はつきにくいこともあります。
大切なのは、とにかく具体物の操作を通して学んでいくことです。
様々なな具体物を何度も繰り返し数えて操作することが、頭の中での操作につながっていきます。

”数字とイラストの合成分解”は、合成分解の課題として初めて取り組む課題ではなく、数字だけの合成分解、イラストだけの合成分解の課題がある程度できるようになってから取り組む課題になります。
また、それぞれの合成分解の課題ができていたけど、足し算引き算の学習でつまずいているといったような場合に、確認として取り組むのも良いかもしれません。
同じ学習を繰り返すのではなく、必要に応じて具体物の操作に戻って取り組むことが大切な課題です。

Instagramで紹介しているその他の合成分解に関する教材

Instagramでは2024年6月現在、合成分解に関する教材として、今回の記事の中で紹介した以外に以下のような教材も紹介しています。

【No.12】↑このゴルフボールの教材は、元々は目と手の協応課題として作ったものです。
紐に通したゴルフボールを動かせるようになっているので、まとまりを意識してくっつけたり離したりすることで、合成分解の課題として活用することができます。

【No.32】↑これは、デコレーションボールで作った合成分解用の教材です。
3~10までの数を、手元で自由に動かすことができます。
元の数が固定されているので、「5は1と4」「5は2と3」「5は3と2」「5は4と1」と一つずつ動かしながら組み合わせが変わっていくことを確認できます。

【No.105】↑これは、タイルを使った合成分解の課題です。
タイルをバラバラで操作しても良いのですが、あえて数の塊を作っておくことで、土台に合わせるパズルのような感覚で、楽しみながら数を操作をすることができます。
また、裏面を利用することで、タイルを一つずつ数えるのではなく、まとまりとして合成分解の学習をすることができます。
タイルの数によってダンボールの長さも変わるので、量感覚を学ぶのにもオススメです。

【No.134】↑10を基準とした数の分解のプリント課題です。
量的な感覚を意識するために、ただ数字だけで合成分解を繰り返すのではなく、線で区切って量感覚につなげられるようにしました。

【No.249】↑合成分解のプリント課題です。
パターン化を防ぐために、空欄で作成しました。
また、分解や合成する数字を3つにした課題は、頭の中で数をイメージして操作する力が必要になります。

【No.316】↑“同じ”を理解するための教材です。
数字や具体物で“同じ”ことを繰り返し学ぶことで、数をイメージする力をつけていきます。
また、ケースを利用することで「あといくつで同じ」という学習に応用することができます。

【No.468】↑よくある合成分解の形に合わせて作ったボードです。
線のところをデコレーションボールが通れるようになっているので、数がどのように分けられたり合わせられたりしているのか、具体物を操作しながら学習することができます

まとめ

今回は、”数字とイラストの合成分解”という教材について、「なぜ数字とイラストをまぜるの?」という視点で解説をしました。
合成分解でつけたい力、“頭の中で数をイメージして、操作できるようになること”ができているかを確認したり、そういった力をつけるために応用的に使うことが主な目的です。
数字だけで提示する課題、イラストだけで提示する課題に意味がないというわけではありません。
必要に応じてあえてまぜたものを提示する事で、より頭の中での操作を促すことにつながっていくと考えています。

そして何よりも大切なことは、必要に応じて具体物を数えて操作する学習に取り組むことです。
数の学習の基本は、数を繰り返し数えること・繰り返し操作することです。
合成分解の課題や足し算引き算の課題で一見答えを出しているように見えても、具体物の操作が足りずに数をイメージする力がついていないこともあります。

「この子はどこでつまずいているのかな?」
教材を使ってみることで、考え直すきっかけになることもあります。
その子の実態に応じて、課題を設定することが大切になります😊

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