感覚あそびの目的はなに?

今日は「感覚あそびの目的は何?」というテーマで考えていきたいと思います。

感覚あそびってどんな遊び?

”感覚あそび”と聞くと、どのようなあそびを思い浮かべるでしょうか?

きらきらした光を楽しむあそび
ブランコで揺れを楽しむあそび
何かを触って楽しむあそび…
いろんな感覚のあそびをイメージするのではないかと思います。

”感覚あそび”といってもイメージはさまざま。

まずは、”感覚”ってなんだろう?ということを考えていきます。

「五感を大切に」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないかと思います。

「五感」とは、視覚(みる)聴覚(きく)嗅覚(かぐ)味覚(あじわう)触覚(さわる)の五つの感覚のことです。

子どものあそびや発達についてを考えるとき、
これらの五つの感覚に合わせて、前庭覚固有覚という感覚を考えることも大切になります。

前庭覚:傾きや揺れを感じる感覚

固有覚:筋肉を使ったり、関節が動いたりしているときに伝えられる感覚

わたしたちは、日々の生活の中でさまざまな感覚刺激を受けていますが、その感覚刺激を、脳が整理(統合)してくれているおかげで、自分の身体を意図的に動かしたり、人の話に注意を向けることができたり、気持ちを安定させたりすることができています。

逆に、感覚が統合されていないことによって、姿勢を保つことが難しかったり、力の加減が難しかったり、字を書くことが難しかったりすることもあります。

”感覚あそび”では、こういった多様な感覚を刺激したり活性化したりして、脳が感覚を統合するための土台づくりをすることが大切になります。

”感覚あそび”というのは、どんな感覚をメインにした遊びかによってさまざまな内容がありますが、
今回テーマとして考えていくのは、
寒天あそび、小麦粉ねんどあそび、シュレッダー紙あそび等、
素材に”触る”ことをメインにした感覚あそびです。

感覚あそびの目的ってなんだろう?

素材に”触る”ことをメインにした、感覚あそびの目的はなんでしょうか?

大切にしたいのは、”素材を楽しむ”ことです。

「素材に触って気持ちいい」
「素材が変化することが楽しい」
「素材をつかった見立て遊びが楽しい」

”子どもたちが素材自体に夢中になること”
これが感覚遊びの一番の目的です。

素材に夢中になることで、
「これなにかな?」 興味・関心が広がる。
「気持ちいい」「楽しい」 いろいろな気持ちが育つ。
「〇〇をまぜたらどうなるかな?」 思考錯誤が生まれる。
「こうやって遊んだら楽しいかも」 自らイメージを広げる。
「もっとやってみたい」 意欲が生まれる。

素材に夢中になって遊ぶことで、結果として、感情や考える力が育つことにつながっていきます。

あそびの中で”触る”という行動は、子どもの主体的な活動です。

自らの働きかけで、素材が変化していく

それが、素材に”触る”ことをメインとした感覚あそびの良さだと思います☺

こういった感覚あそびをする時に、粘土やスライム等を用いて、目標として「手や指の力をつける」といった設定をすることがあります。

いろいろな素材に触れ、握ったり形を変えたりすることを楽しむ中で、そういった力もつくと思いますが、私自身は、”あそび”の中ではこういった目標は設定しないようにしています。

”あそび”として提供する中で、その目標達成のために働きかけを行うことを意識しすぎて、”楽しい”気持ちがなくならないようにしたいからです。

素材に触る活動を用いて、こういった目標を設定することが悪いことだと思っているわけではありません。
「手や指の力をつける」ことを目標と設定するなら、”あそび”ではなく、学習や自立活動の時間の中で行うこともできるのではないかと考えています。

感覚あそびをどう広げる?

素材に触る感覚あそび。

素材と一緒に、簡単な道具を用意しておくことで、どんどん遊びあそびが広がっていきます。

特にオススメは、スプーンプリンや豆腐等のいらなくなった容器

これらがあるだけで、すくう、入れる・出すという活動が生まれ、遊びの幅がぐーんと広がります

また、簡単なままごとセット(鍋、お皿等)があれば、見立て遊びを始める子もおり、簡単なやりとりもうまれます

この素材をどんなふうに遊ぶかな?子どもの姿を想像しながら、あそびの準備をすすめていくと良いと思います😊

素材やちょっとした道具を提供するだけで、どんどん主体的に遊べる子がいる一方、
少し素材に触るとすぐに「おしまい」となったり、そもそも素材自体に触ることが難しい子どももいると思います。

感覚あそびをする時の関わり方で、
一番大切にしていることは、”無理強いをしない”ということです。

”触る”というのは主体的な活動ですが、”触らされる”というのは嫌な記憶となって残る活動です。

「なんとしても触ってほしい」という大人の意図が強くなるほど、子どもがより拒否的になってしまうこともあります。

感覚過敏のある子にとって、初めての素材に触ることは、私たちが想像する以上に恐怖を感じることでもあります。

感覚あそびの時間として用意していた時間でも、場合によっては、そのあそびの時間に違うことをすることを許容することも必要です。

(違う場所で遊ぶより、同じ空間にいて他の子どもが遊ぶ様子が見られるようにしておく方がいいかなぁと思います)

安心できる空間で
「だいじょうぶかな?」
「やってみようかな?」という気持ちになることを待つ
ことが、とても大切です。

無理をしなくてもいいという安心感。
でも、楽しそうに遊んでいる友だちたちが見える。

そんな環境だからこそ、
「何をしているのかな?」
「やってみようかな?」
そんな気持ちが生まれてくるのではないかと思います。

さりげなく、素材を近くに置いておく。

何回か同じ素材でのあそびを繰り返して見通しがもてるようにする。

遊んでいる子どもたちに視線を向けた時に、声を掛ける。

あせることなく、そんな支援を続けていくことが大切だと感じています。

安心できる環境の中で
「触ってみようかな?」
「やってみようかな?」
「意外と大丈夫だった!」

そんな気持ちをたくさん感じることは、日常生活の中で新たなことにチャレンジすることにもつながっていきます。

感覚あそびを通して、
「苦手だと思っていたけど大丈夫だった。」
「やってみると楽しかった。」

そんな経験を積み重ねていってほしいと思います。

オススメの素材あそび

続いて、子どもたちの反応が良かった感覚あそび紹介していきたいと思います☺

素材同士を混ぜ合わせるあそび

それぞれの素材で遊ぶ良さと、それらがまざりあう面白さを感じることができます。

☆スライム+泡(シェービングフォームでもOK)

スライムと石鹸でつくった泡をまぜることで、ふんわりもちっとした感触に♪
泡スライムはストローで膨らませて遊べるのも楽しい!
何回あそんでも、「またやりたい!」という声があがるあそびです。

☆絵具+洗濯のり(少しかためのものも、ドロッとしたタイプもどちらもOK)

シンプルな絵具遊び。子どもたちは全身絵具まみれになって楽しみます☺
そこに洗濯のりをいれると…
ベっちゃっとした感触が苦手な子もいますが、手や紙にくっつく面白さも味わえます♪
作品作りや造形あそびとして行うのもオススメです。

素材づくりを一緒に行うあそび

素材自体を一緒に作ることも、興味・関心を広げていくことにつながります。
また、「次はこれであそぶんだ!」という期待感にもつながっていきます。

☆寒天づくり+寒天あそび

寒天あそびは、子どもたちの人気の遊びの一つ。
その寒天を、作るところからするのもまた面白い!
水、寒天の粉を混ぜて、火にかけて…そして固まっていく。
自分たちが使っているものが「こうやってできているんだ!」
そんな発見がうまれます。

氷遊びも、氷を一緒に作るところからできそうです☺

似たような素材を比較するあそび

同じような素材を比較することで、違いに気が付きやすくなります

☆小麦粉+片栗粉

どちらも同じ白い粉、でも水を入れると…
小麦粉はベちゃっと、でも形を作ることができる
片栗粉はさらっとして、すぐにくずれる
同じ白い粉でも、水を入れると違う触感に!
違いに気付き、「自分は〇〇の方が好き」
自分の好きな感覚に気付くきっかけにもなります♪

同じ素材を変化させるあそび

同じ素材が、変化していく面白さを感じることができます。

☆トイレットペーパー+水

まずはトイレットペーパーでしっかり遊ぶ。
普段はできないけど、ころころ転がしたり引っ張ったり…
トイレットペーパがほどけていく姿は子どもたちは大好き♪
しっかり遊んだトイレットペーパーを集めて水をまぜると、、
粘土のように形を作って遊ぶことができます☺

☆温泉+入浴剤、泡等

温かいお湯に足をつけて温泉あそび。
そこに入浴剤を入れたり泡を入れたり…
シンプルですが、子どもたちは大喜びで、いつの間にか水になっても楽しく遊んでいます♪

今回紹介した素材以外にも、いろいろな素材あそびがあると思います。
今はネットで検索すると、大人でも「へぇ~!」と思うようなあそびがたくさん出てきます。
ぜひたくさんの素材を試してみてください😊

まとめ

今回は、「感覚あそびの目的は何?」というテーマで、素材に”触る”ことをメインとした感覚あそびについて考えていきました。

”素材に夢中になること”で、結果として心が育ち、考える力がつく

主体的な活動の中で、不器用な子も一生懸命手指を使う。

嫌だなぁと思っていたことが、意外と大丈夫だったということを知る。

安心できる環境の中で、初めての経験にチャレンジする。

あそびの中だからこそ、育つたくさんの力があります。

感覚あそびに丁寧に取り組むことは、いろいろな力の土台づくりにつながっていきます。

楽しく主体的な活動となるような工夫を、これからも考えていきたいと思います😊

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