間違えさせない指導
今日は、「間違えさせない指導って?」というテーマで考えていきたいと思います☺
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どうして間違えさせない?
個別で1対1の課題に取り組むとき「間違えさせない」ことを大切にしています。
なぜ、間違えさせないのでしょうか?
それは”できた”ことを積み重ねて、学ぶことの楽しさを感じてほしいからです。
(”できた”ことを積み重ねることについては、過去の記事をご覧ください)
そしてもう一つ、特性のある子どもたちにとって「間違えた」ということはとても大きなことで、すごくダメージを受けることがあるからです。
特性のある子どもたちは、もともと失敗に対する耐性が低いことも多いです。
また、周りの人と比較して「できない」という気持ちを積み重ねていることも多いです。
そういった中で「間違えた」という経験をすると、パニックになることもあります。
そして、「できない」という気持ちをどんどん積み重ねていくことになります。
それでは、学びにつながる時間にはなりません。
そしてそういった経験を積み重ねたり、「できない」ことを無理やりすることを強制されたりすると、拒否や否定が強くなり、教材を見るだけでフラッシュバックを起こしてパニックになってしまうこともあります。
大人にとって「そんなことくらいで」と思うようなことでも、そのささいなことをきっかけに、何か月、何年もその教材に取り組めなくなる子もいます。
それは、その期間、その子の学びを奪ってしまうことになります。
子どもの学びに向かう気持ちを育てること、そのためには「間違えさせない」ことを意識しておくことは、大切なことだと感じています。
間違えさせないためには
間違えさせないために、主に二つのことを意識しています。
①できる課題の中に「ちょっと考える場面を設定する」
②間違えないように正解に誘導していく
①できる課題の中に「ちょっと考える場面を設定する」
できる課題の中に「ちょっと考える場面を設定する」ことを意識しています。
「できる課題をやり続けること」は、一見安定して取り組んでいるようにも見えますが、いつの間にか作業のようになってしまい、そこから新しい学びが生まれにくくなります。
心の安定のためにそういった課題も混ぜておくこともありますが、すべての課題が一人でできるものであれば、それはもうできる課題です。
できる課題を繰り返し取り組む以外に、新たな学びを設定する必要があります。
反対にいつも難しい課題に取り組むことは、大人の私たちにとっても面白くないことだと思います。
難しいことに対して、粘り強く考えてできることが面白いと感じるのは、ある程度考える力がついてからだと思います。
そういった力がまだ十分についていない場合には「あれ?いつもとちょっと違う」「これをこうすれば、いつもと同じ課題になるかも」そんな小さな気付きが、考えることにつながっていきます。
例えば、いつもと置く場所を変えてみる、左右を逆にしてみる、一つ数を増やしてみる、一枚イラストを変えてみる…そういったちょっとした変化です。
できるようになった課題に少しずつ変化を加えていくことで、少しずつレベルアップしていくことができます。
できる課題の中に「ちょっと考える場面を設定する」ためには、課題を提供する大人は、実態に合った課題を提供するための実態を把握する力と、子どもが今「考えている」を場面を見逃さずに見極める力が必要です。
②間違えないように正解に誘導していく
適切な課題を設定したつもりでも、実際に提供すると子どもが思ったような反応を示さずに、間違えそうになることはよくあることだと思います。
そのような時に間違えた後に、やり直したり、正解を教えたりすると「間違えた」と感じてやる気がなくなってしまう子もいます。
そうならないためにも、間違えそうになったら、正解に誘導していくことが大切になります。
具体的には、
提示された選択肢の中から正解を選ぶような課題では、間違っている選択肢を机から撤去して正解の選択肢だけ残すようにする
弁別課題など正しい方に答えをはめたり入れたりする課題では、正解の方を指差しで示したり間違えの方を手で隠したりする
など、正解以外のものは見えなくしたり、正解を指差しで示したりすると良いと思います。
子どもの手を大人が持って正解に誘導すると、”できた”という感覚が弱くなってしまうので、できるだけ子どもの操作で正解に導いていけるように工夫していけたらと思います。
そして”できた”ら、さっと教材を片付けて、「できたね」でその課題は終わる。
間違えさせないためにはテンポよく取り組んでいくことも大切です。
正解に誘導するためには、教材を提示した後、子どもがどのように課題に向かっているのかしっかりと見ている必要があります。
「間違えるかも」と思ったときには、すぐに正解に誘導しないと、あっという間に間違えてしまいます。
「間違えさせない」ためには子どもが課題に向かう様子を捉える力をつけることが、大切になると思います。
まとめ
ある研修に参加した時、講師の先生に「子どもが間違えるのは、間違えさせた大人の失敗」と言われたことが、とても印象に残っています。
子どもたちが学びに向かう心を育てること、それは「できた」という達成感から生まれるものだと思います。
”失敗から学ぶ”、”間違えから学ぶ”という考え方もあります。
でもそれは、ある程度考える力がついてからのことだと思います。
間違えたことから、粘り強く考える力が育っているのかを見極め、十分に力が育っている場合には難しい課題を出すことも良いと思います。
でもそういった力が十分に育っていない場合は、間違いや失敗が、子どもたちの学びを奪うことにつながってしまうこともあります。
間違えさせないように、でも少し考えることが必要なように変化を加えて、子どもたちを”できた”に導いていく、
”間違えさせない指導”というのはそういった指導だと思っています。
課題ができてうれしい、できた、そんな気持ちを共有していく、それが子どもたちの学びにつながってくと思います😊