基準を変える分類

きょうざいのきInstagram【No.326】で紹介している、基準を変える分類についての解説です。

分類とは?

基準を変える分類について考える前に、分類とはどのような課題でしょうか?

分類は、示された基準に沿って「同じ」仲間分けをしていきます。

【写真1】のように、示された基準(ここでは〇△□)に対して、色や形、大きさが違っても「同じ」と仲間分けしていく課題が分類です。


「同じ」の幅が広がっていくことは、概念形成につながっていきます。

【写真1】では、色や大きさ、形の違いがあっても、〇△□という概念が同じだということを学習していきます。

基準を変える分類とは?

では、分類課題と基準を変える分類の違いはなんでしょうか?

基準を変える分類とは、同じ分類課題を使って、同じ指導時間内に違う規準を示して取り組む分類課題です。

例えば、【写真2】では、車、電車、船という乗り物の種類ごとに分類をするパターンと、赤、黄、青というの種類ごとに分類をするパターンで取り組むことができます。
同じ課題を使って、”乗り物”と””という二つの基準に沿って、分類をしていくことになります。

なぜ、基準を変えて示す必要があるのでしょうか?

分類は示された基準に沿って仲間分けをするという課題なので、”課題を出した相手の意図にあわせる”という意味も含まれています。

分類の基準が変わるということは相手の意図が変わるということであり、それに合わせるということは相手の意図に応じるということになります。
相手の意図に応じて、基準に合わせて柔軟に頭を切り換えることが必要になります。

つまり、相手の示した基準に沿って行う分類課題は、相手の意図に合わせる対人関係の学習でもあると言えます。

”自分の基準”ではなく”相手の基準”に応じていくことを、課題を通して積み重ねていくことで、”相手の意図”に応じることを学んでいくことができます。

こういった課題を通して示された基準に対して頭を切り換えることを学んでいくと、日常生活の中でも、ちょっとしたスケジュール変更に応じられるようになってきたり、いつもと違うパターンでも徐々に受け入れられるようになってきたりする場面が出てくるようになっていきます。

使い方の工夫

基準を変える分類に取り組む前提として、属性による分類が十分にできるようになっていることが大切です。
基準に対して分類をすることが難しい段階(〇△□の違いがわかっていない、色の分類が難しい等)では、基準がころころ変わることで分類すること自体に混乱を生じてしまう可能性もあります。

まずは示された基準に対して、しっかりと分類ができるようになってから基準を変える分類に取り組んでみてください。

”相手の意図に合わせる”というのは、簡単なことではありません。

”相手の基準にあわせる”ことが難しい段階では、基準を変えて提示しても最初に提示した基準で分類をしたり、基準の順番を貼り替えたりすることがあります。
基準を変えることが難しい子どもに「違う」と言いながら訓練的に取り組んでもなかなかできるようにならないかもしれません。

そういったときは、基準を変えた後に、「次は〇〇で分類するよ。〇〇はどれかな?」と声を掛けながら、一つずつ、誘導するようにして取り組んでいくと良いと思います。
そしてできた後に「今度は〇〇で分類ができたね。」と声を掛けていくことで、少しずつ違う規準での分類も受け入れられるようになっていくかもしれません。

またこだわりが強い基準に関しては、(例えば、緑がものすごく好きで緑は緑で集めたい、乗り物が好きで乗り物は種類ごとに分けたくなる等)示す基準からいったん外して、本人のこだわりが出にくい基準の物から取り組んでいっても良いかもしれません。

以下に、Instagramで他に紹介している基準を変える分類について紹介していますので、参考にしてみてください😊

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