「できた」ことを共有する

”「できた」ことを共有する”
今日は、このことをテーマに考えていきたいと思います。

「できた」を共有するというのは、具体的にどういうことでしょうか。

「できた」
…何が?…いつ?…何を?

日常生活の中で、課題の中で、実は「できた」という場面はたくさんあります。
それを子どもたちと共有することについて考えていきます。

「できた」の共有方法

「できた」
なにをすれば共有していることになるのでしょうか?

ここでは、以前研修で教えてもらった方法を紹介します。

具体的な方法は、何か「できた」と感じられた時、両手を出して「で・き・た」の言葉に合わせて、3回トントントンと手を合わせる方法です。

座っているときには、座っているままで大丈夫です。
子どもが自分から手を出すことが難しい場合は、「で・き・た」の声に合わせて、手を合わせるようにして軽くたたくような形でも大丈夫です。
「で・き・た」に合わせて、トントントン、ぜひやってみてください。

なぜ”共有”することを意識するのか。

それは「できた」ことを本人にも感じてほしいからです。

課題に取り組んでその課題ができた時、何かに挑戦したとき、苦手なことを頑張ったとき…日常生活には色々な「できた」があふれています。
そんなとき「頑張ったね」「できたね」と言葉を掛けることもありますが、それでは一方的な言葉かけで終わってしまうこともあります。

一方的にならないように、手を合わせて共有することで、本人自身が「できた」と意識できるよう心がけています。

また、麻痺や重度の肢体不自由で自分から手を動かすことが難しい場合にも、手に触れることで「できた」を共有することを意識しています。

「で・き・た」と手を合わせて共有しようとしたとき、最初の頃はぽかんとしてなんのこと?という表情の子も多くいます。

でも、共有していくことを繰り返していくことで、「できた」が嬉しいことだと認識して「できた」と一緒に言葉にしたり、手を出して自分からトントントンと叩く様子が見られるようになってきたりします。

子ども自身がこれが「できた」ということ感じるようになっていくと、子どもの方から「できた」の共有を求めてくれるようになってくることもあります。

「できた」を共有する事、これは大人から一方的にではなく、子どもからの発信も共有できるようになることに、意味があると感じています。
発語がない子どもでも、「できた」と感じた時に自ら手を出してトントントンと手を合わせてくれることもありました。

この「で・き・た」の声に合わせてトントントンと手を合わせる方法は、年齢によっては子どもっぽさを感じる子どももいるかもしれません。
またこれまで違う方法で共有してきた場合に、無理にその共有方法を修正をする必要はないと思います。
(ハイタッチ1回で共有していたこともあります。)

子どもに合わせて「できた」の共有方法を探っていけたらと思います。

机上課題での「できた」

子どもと机上課題で学習をするとき、課題の終わりごとに「できた」を共有することを意識しています。

このことには、

①「できた」ことを教える

②「できた」ということ積み重ねる

主にこの2つの視点があると思っています。

①「できた」ことを教える

提供された課題に取り組むとき、特性がある子どもにとっては、その課題の終わりがわからなかったり、何が「できた」状態なのかがわからなかったりすることがあります。

例えば型はめ課題を考えた時、形(ここでは〇)を型にはめた後にそのままにしておくと、はめた形(〇)をとってまたはめて…を繰り返したり、形(〇)や型で遊び始めたりすることがあります。

このような状態になると、子どもにとっては形をはめることが目的ではなく、形で自由に遊ぶ時間となってしまい、この課題ができたのかできていないのかがわからないままになってしまいます。

そういった状態になることを防ぐためにも、形(〇)をはめた後すぐに手を合わせて「できた」と共有することで、この状態が「できた」ということを伝えていくことができます。

②「できた」ということ積み重ねる

子どもの成長にとって、小さな「できた」を積み重ねていくことは、自己肯定感を高めていくうえで大切なことだと思います。

でも、特性のある子どもたちは、周囲の子と比べて「できない」と感じていることが多く、心の中に「できない」がたまっていることが多くあります。
また、本人にとっては一生懸命やって「できた」ことでも、周囲と比べてできて当然のことと思われ、「できた」ことを十分に認められていないこともあります。

机上課題では、例えば3つの机上課題を用意して取り組めば、3つの「できた」を積み重ねることができます。

子ども自身が「できた」ことがわかり、それを認めてくれる人がいることに気付くと、「できた」と思ったときに子どもが自分から手を出して「できた」を求めてくれるようになっていきます。

そして、それが「できるようになりたい」という気持ちの原動力になっていく思います。

「できた」を積み重ねていくことで、「できるようになりたい」と子どもが学びに向かう気持ちが育っていくと感じています。

まとめ

「できた」を積み重ねていくことは、子どもの成長にとっては必要不可欠です。

日常の中でも、課題の中でも「できた」ことはたくさんあると思います。

「できた」を共有することで、私たち自身の小さな「できた」を見つける眼も育っていくと思います。

日々の中で、意識して「できた」を共有していき、子どもも大人も「できた」を積み重ねていけたらと思います。

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