数カードの分類

きょうざいのきInstagram【No.38】で紹介している、数カードの分類についての解説です。

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数カードの分類とは?

数カードの分類は、写真1の右側のような、イラストや記号・手の指で示した数を表したカードを、左側のように数字と対応させて分類していく課題です。
イラストや記号、並び方はちがっても、どれも同じ数ということを学習していく課題です。
また、同時に、数について「見てわかる」力がどのくらいあるのか、確認できる教材にもなります。

数について、「見てわかる」ってどういうこと?

この課題に取り組むとき、「見てわかる」とはどういうことか考えていきたいと思います。

下の【図1】のイラストを見た時、パッと見ていくつかわかるでしょうか?

【図1】

おそらく、見てすぐに”5”と言えた人が多いのではないでしょうか。
「1,2…」ドットの数を数えた人は少ないのではないかと思います。

では次のイラストではどうでしょうか?【図2】

【図2】

パッと見てわかった人もいるかもしれませんが、数を数えたり、なんとなく予想しながらも自信がもてなくて数え直したりした人もいるのではないでしょうか?

答えは”8”です。

では上のイラストの並びが、このように変化するとどうでしょうか?【図3】

【図3】

続いて、こちらのイラストではどうでしょうか?

【図4】

【図3】【図4】のような並びになると、パッと見て”8”と判断できた人も多いのではないでしょうか?
”4と4”、”5と3”という組み合わせの並びが、8ということが感覚的に身についているのだと思います。

しかし、ここでいう「見てわかる」力は、この並び方なら判断できるという力ではなく、
どのようなイラストでも、どのような並びでも、数えずにその数字を判断できる力です。

大人は6~7くらいまでの数について、「見てわかる」ことが多いようです。
(ちなみにわたしは6です)
色々な数で、自分はどのくらいかな?と、試してみてください😊

「見てわかる力」と足し算

数について「見てわかる」力がどういうことか、なんとなくイメージができたでしょうか?

「見てわかる」ということは、”5”という数字を見た時に、頭の中に”●●●●●”という具体物がイメージできるということです。反対に”●●●●●”という具体物を見た時に、頭の中で”5”という数字に変えられるということでもあります。

【図5】

実際に数を数えなくても、頭の中で”5”⇔”●●●●●”の変換ができるようになってくると、数が変化していく課題にも取り組みやすくなっていきます。

足し算と「見てわかる」力の関係を考えると、5までの数について「見てわかる」力がついていると、足し算の理解がスムーズになっていきやすいと聞いたことがあります。

足し算の学習の時に、〇を書いたり、指を使わないと答えを出すことが難しい子どもがいます。
こういった子たちは、頭の中で”5”⇔”●●●●●”と変換する力がまだ十分についておらず、視覚化して数えることで答えを出している場合があります。
一桁の数ではそれでも対応できますが、繰上りの足し算や、桁数が増えてくると、そういった方法では対応が難しくなっていきます。

まずはどのくらいの数まで「見てわかる」力がついているのか確認し、具体物を操作して数える学習を通して数の理解を深めていくことで、足し算の理解も深まっていくことも考えられます。

使い方の工夫

数カードの分類の教材を使ってみた時に、パッと見て数を判断して分類するのではなく、「1,2,3、4、5」と、イラストや記号の数を数えながら、分類をする子どもがいると思います。

「見てわかる」前の「数えてわかる」段階です。

このような場合に、この数カードの分類課題を訓練的に行っても、パッと見てわかるようになる可能性は低いです。

「数えてわかる」段階の場合は、具体物を操作しながら数える経験がまだ必要ということです。
違う教材で、数を数えることにたくさん取り組んでいくことで、「見てわかる」に近づいていけると思うので、実際に数をしっかりと操作していく場面を増やしていくと良いと思います。

「見てわかる」力は、5くらいまでの獲得を目指していますが、この教材は10までの数についてカードを作成しています。

【写真2】のように、表を作成すればマッチング課題としても使用することができます。

また、どの数字までわかっているのかな?とスクリーニング的に使うこともあります。

正解しているかという結果だけでなく、取り組む過程の子どもの様子をよく見て「見てわかる」のか「数えてわかる」のかを判断します。

□分類するスピードはどのくらいかな?
□数えているときの視線の動きは?
□声を出して数えている?
□どの数まで理解しているのかな?
□数字の並びによってわかる力が違うのかな?(バラバラ?まとまっている方が良い?)

こういった様子を確認することで、数に対する理解を確認しながら、子どもの課題を見つけ、必要に応じて別の課題を設定して数の理解を深めていけたらと思います。

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