「マトリックス」教材について考えよう

この投稿では、「マトリックス」教材について、考えていきたいと思います。
「マトリックス(マトリクス)」という名前を聞いてどんな教材がイメージできるでしょうか?

【写真1】

【写真1】のような、縦と横の二つの基準を合わせて並べるような課題を、「マトリックス」と呼びます。

そのねらいや、使い方について見ていきます。

「マトリックス」のねらい

マトリックス課題では、縦と横に並んだ二つの基準について、同時に考える力が必要になります。
つまり、「分類の基準が複数あることを学ぶ」ことが、マトリックスのねらいです。

〇や△といった形の特徴に気付いて分類ができるようになった子に対して、色で分類することを促しても、形で分類をしてしまうことがあります。
これは、”形”という基準でわけることを習得し、”色”という基準に変えることがなかなかできないからです。

色々な分類について考えるとき、基準は一つではありません。
色、形、数、大きさ…様々な基準があり、その基準が何かを考えていくことが分類には必要です。

マトリックス課題では、縦と横に提示された二つの基準をあわせることで、分類の基準が複数あることに気付いていけるようにすることを目指しています。

マトリックス課題自体は、言葉を知らなくても、見てその基準を判断することができれば、完成させることができます。
(”あか”という言葉を知らなくても、同じ色ということを見て判断できるということです。)

だからこそ、課題を通して象徴する言葉を教えていくことも大切です。
赤、青といった色の名前から”色”という概念へ、丸、三角といった形の名前から”形”という概念へ発展していきます。

基準の理解は概念形成へつながり、概念形成ができていくことが言葉の理解へとつながっていきます。

作り方

きょうざいのきの販売サイトで【教材作成用】データを販売していますので、参考にしてください。

https://kyozainoki.base.shop/items/66729884

【写真2】のような、土台となる表とイラストを、ラミネートして作成しています。
基準となる部分も面ファスナーをつけることで、基準自体の表示を並び替えたり変更したりすることができ、パターン化を防ぐことができるようにしています。

マトリックス課題は、具体物を使って取り組むこともできます。投稿の最後にInstagramで紹介しているマトリックス課題をのせていますので、参考にしてください。

使い方の工夫

マトリックス課題で、縦横二つの基準を同時に考えることは、とても難しいことです。

マトリックス課題が難しいときに

①基準自体がわかっていないのか

②課題の意図がわかっていないのか

考える必要があります。

①基準自体がわかっていない場合

縦横二つの基準に対して、どちらも意識せずにばらばらに貼ってしまう場合は、基準自体がわかっていない可能性があります。

その場合は、マトリックス課題に取り組む前に、
仲間分け課題や、分類課題にしっかりと取り組んだ方がいいのかもしれません。
(赤いものを集める、同じ形を見つける分類課題に取り組む等)

一つの基準が十分に理解できていない場合は、二つの基準を同時に意識することは難しいと思います。

②課題の意図がわかっていない場合

なんとなく形を合わせようとしたり、色を合わせようとしたり、試行錯誤する様子は見られるどなかなかできない…といった場合は、課題の意図がわかっていない可能性があります。
【写真3】のように、少ない数から穴埋め形式で取り組んでいくと良いと思います。

【写真3】

また、課題ができた後、基準を意識できるよう「あか」「まる」と基準を指でなぞりながら確認したり、図形を指差して「あかいまる」等言葉にして確認していくことも大切です。

パターン化を防ぐために…

最後に、パターン化を防ぐための工夫です。

自閉傾向の特性が強い場合は、同じ問題を繰り返すと位置で答えを覚えてしまったり、出した問題自体を並び替えてしまうこともあります。

課題に取り組む初期から、できるだけパターン化しないよう【写真4】のように配置や問題を変えて提供すると良いと思います。

一つのマトリックス課題ができたら、違う種類のマトリックス課題にも取り組んでいくと良いと思います。
縦横二つの基準を色々なマトリックス課題で意識できるようになっていくことが、「分類の基準が複数あることを学ぶ」ことにつながっていきます。

Instagramでこれまで紹介したマトリックス教材の写真をのせていますので、参考にしてください。

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